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ホビー＆ライフ > 映画・音楽・テレビ > 世界の北野武待望の新作

映画などの作品においては、“悪”がヒーローに仕立てられもてはやされがちだった。けど実際は、そんなに格好いいのだろうか。男前な男優たちが迫真の演技で送る北野武待望のバイオレンスムービー。何が格好いい男なのかを考えさせてくれる映画だ。

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(C) 2010『アウトレイジ』製作委員会
６月１２日（土）より、梅田ブルク７、梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、１０９シネマズHAT神戸、OSシネマズミント神戸ほかにて上映。
監督・脚本・編集：北野武
出演：ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、三浦友和他
http://www.office-kitano.co.jp/outrage/main.html

アウトレイジ

北野武監督が『BROTHER』 (01)、『座頭市』(03)以来7年ぶりに挑んだ、R-15指定の衝撃的なバイオレンス・アクションムービー。ビートたけしの他、三浦友和、椎名桔平、加瀬亮、國村隼、杉本哲太、塚本高史、中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一郎といった、北野映画初登場の豪華俳優人が出演していながら、誰ひとりヒーローに仕立てることなく、すべての登場人物が悪人で暴力的。今までの作品とは異なり台詞も多く、観客はただただ画面上で繰り広げられる怒号と激しい暴力の数々に圧倒される。
関東一円を仕切る巨大暴力団組織山王会の若頭・加藤（三浦友和）は、直参である池本組組長・池本（國村隼）に、村瀬（石橋蓮司）が組長を務める弱小ヤクザ村瀬組を締めるように苦言を呈する。そこで池本は、配下にある大友組組長・大友（ビートたけし）に後始末を任せるが、この事件を発端に、さまざまな陰謀、恨み、罠が飛び交い、やがて下克上へとつながっていく‥。
さすがの豪華キャスト。役者陣の迫真の演技は圧倒的で、特に椎名桔平の冷淡でいてどこか人情的なものも感じさせる極道っぷり、当初よりも出演シーンが増えたという加瀬亮のどこまでも冷酷で狂気じみた演技などは、ぞくっと寒気が走るほど。おなじみ暴力シーンも、相変わらず容赦ない描写で徹底的ではあるが、今までの作品と比較しより洗練された感。作品として美しく、その迫力に息を飲みながらも、目を釘つけにさせてしまう手腕はさすが。そして、スクリーン上に繰り広げられる“覇権争い”“マネーゲーム”“駆引き”“裏切り”“使い捨て”‥誰かに共感することもできず、誰かの肩を持つこともできない。ただただ冷淡に、物語の行方を観続ける。この状況は、まさに身の回りや社会で起こる悲惨なできごとや、理不尽なできごとを、ただ観ているかのようで‥。ラストにこみあげる、どこか物悲しい気持ち。これこそが、北野監督が作品を通して伝えたかったメッセージなのかもしれない。
男前たちの本気の仕事ぶり、とくとご覧あれ。

■ アウトレイジ
カテゴリ	【ホビー＆ライフ】映画・音楽・テレビ

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