書店でよくやっている作家フェアで、どうもよく見かけるのが東野圭吾である。それほど、意識しているわけではないのだが、必ずと言っていいほど書店の文庫コーナーであれば前の方に陳列されているのだ。いくつかの理由があるだろう。一つは東野圭吾が実力・名声共に流行作家であるという事。一つは彼が数多くのフェアをするに値するだけの作品を数多く出しているという事だろう。
近頃、ふと書店に入って何気なく文庫コーナーを見ていると、そんな東野圭吾フェアで足を止め、ついつい二冊ばかり購入してしまった。東野圭吾自身の談義は今後のコラムでという事にして、今回は買って読んだばかりの『ある閉ざされた雪の山荘で』について話したいと思います。
1度限りの大トリック!
たった1度の大トリック!劇中の殺人は真実か?
俳優志願の男女7人、殺人劇の恐怖の結末。
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!
こんな書評につられて買ってしまったわけで、まさに出版社と書店側の作戦に見事にはまってしまった感があるのですが、それも何かの縁、本との出会いは人との出会いのように突然であり理由がなかったりするわけです。
完読してみて、あらためて東野圭吾という作家の力量に感じ入った、作品でした。ミステリーフリークな私ですが、先の展開がなかなか読めず、全てを読み終えた後も今まで読んだどの作品のクライマックスにあてはまらない新鮮さがありました。それでいて、殺人事件というキーワードすらも見事に裏切ってくれます。東野圭吾の作品は、殺人事件などのミステリー作品においても、どこか不思議な温かさがあります。残虐さだけをこれでもかというぐらいに読者に与えようとする作品ではなく、最後でどこか救いの手を差し伸べてくれるのです。そんな文体やプロットがひょっとすると、多くの読者に支持される由縁なのかもしれません。
興味を持った人は是非一読を。
| ■ 作品談義9「ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾」 |
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