今日は少し趣向を変えて、私がどっぷりとハマっていた文庫を紹介したいと思います。
まずは中国の四大奇書の1つ『水滸伝』を原典した作品を紹介。日本のハードボイルド界の代表的作家である北方謙三氏が描き出す『水滸伝』は、原典とは多少異なり、俗に“北方版”と呼ばれることがあります。平成11年から5年10ヶ月に亘って『小説すばる(集英社刊)』に連載された歴史小説であり、現在では解説本1冊を加え、全20巻の単行本がリリースされています。
簡単に内容を説明すれば、宋時代末期に賄賂や役人の不正などで腐敗していく国家に対し、『替天行道』という志の元に集まった好漢たちが梁山泊と呼ばれる自然の要塞に集まって一国家を形成し、やがて悪徳官吏を打倒し、国を救う事を目指すという物語であります。
原点となった『水滸伝』を読んだわけではないのではっきり申し上げることができないのですが、原典とは大きく違いがあるそうで、人間離れした道術使いなどが登場することもなく、等身大の人間が描かれた作品であり、その違いこそが今回オススメする理由に他なりません。登場人物も新たに加えられている他、登場人物も大きく違います。エンタメ小説の雄、北方さんが書かれた水滸伝には、個々の人間模性が描かれており、登場する人物全てに全く異なるバックグラウンドが存在します。また全ての登場人物が稀代の豪傑という訳でもなく、人間が持つ弱さなども交え、人間らしさかかれている作品です。
以前から北方さんの作品が好きで読んでいたのですが、この歴史説小説を読むきっかけになったのが北方版の三国志です。当時18.9歳の自分にとって非常にいい時期に読めた本だと思っていますし、今でも心のベスト10に入る作品です。海外の有名な作家だの哲学だの純文学だの、背伸びして色んな本を読んでみましたが、これほどシンプルに男の生き様を描いた作品に出会ったことが新鮮でした。また当時のNHK教育テレビ「人間講座」でも三国志の英雄たちというシリーズが放送されており、よく友達同志でVHSの貸し借りを行っておりましたw
そんなの彼の言葉をご紹介しましょう。
『いずれ人間は生まれたときから死に向かうしかない。それならば、精一杯生き、鮮烈に死にたいではないか。鮮烈に死ぬためには、鮮烈に生きることが必要だ。それができた人物だけが、死んでもなお人の心の中で生きつづけることができる。
これを実行しようとしたり、現実の世界に持ち込もうとすれば困難も多い。それならば、せめて小説の中くらいは、死んでもなお心の中で生きつづけるような人物を描きたいと、ぼくは思う。小説を読まなくても死にはしないが、人には小説を読んでよかったなと思える瞬間が必ずある。人が生きる、そのことの意味をきちんと捉え、描写した小説との出会いというのも、その瞬間の一つではないだろうか。ぼくは『三国志』を書きながら、精一杯生きた人物をきちんと描く、そのことばかり考えていた。』
とにかくくさい。男くさいし、暑苦しいぐらいに暑い。だからこそ面白い北方歴史小説。私が父親になることがあるとすれば、子供にこういった本を薦めてあげたいなと。
P.S
第一冊目は中古本で購入したのですが、表紙カバーの裏には、刑務所の検閲後がありました。いったいどんな人が読んでいたのでしょうw
本って面白いですね。