インライフ

一流の野球人に学ぶ仕事論

心の野球 超効率的努力のススメ
 たぶんハワイのレストランだったと思う。

元巨人軍の投手、桑田真澄がよく行くレストランらしい。

あるコース料理の中で、9分割された皿に9種類のおかずが盛られて出てきた。

そのメニューが、桑田は嫌いなのだそうだ。

何故なら、その9分割された皿を見ると、ストライクゾーンを連想してしまい、「今ど真中だったから、次は外角高めで‥」などと、次の投球を考えるように食べる順番を考えてしまうから。あるテレビ番組で放映されていたエピソードである。桑田真澄は、根っからの野球人だったのだと思わされた。

当たり前なのだが‥。


 現役時代の桑田は、決してマスコミに対してウケがいいようには思えなかった。

誰もがPL時代の盟友、清原和弘がドラフト1位で指名されると疑わなかった巨人に、桑田が指名されたとき、「巨人との密約があったのでは」と噂され、あるときは、「野球賭博に関与し登板日を漏洩した」という根も葉もないスキャンダルも持ち上がった。

桑田自身もマスコミに対して愛想がいいようには思えなかった。

だから、桑田が一体何を考えて、どんな努力をして、野球とどう関わっているのか、根っからの野球ファン、桑田ファンでなければ、全く知らなかったという人も多かっただろう。


 引退後、彼はマスコミに対して、自分の考えを多く語るようになり、著作も2冊出している。3冊目となるこの本では、清原への想い、引退の真相、尊敬する野球人など、高校時代から引退までのエピソードと共に、彼のプロとしての日々の努力、仕事に対するこだわり、野球に対する思い入れ、指導者のあり方などの精神論を多く記している。

 特に精神論は、努力をし続けてきた一流の野球人だからこそ発言できる、最もだとうならされる内容。

不思議なことに、野球に限らず、どの仕事にも通じる事柄ばかりだ。

副題となっている「超効率的努力のススメ」、そして、帯に記された「がむしゃらな努力は無駄だ」という言葉は、一見、桑田がそれほど努力はしていなかったように聞こえるかもしれない。

だが、決してそうではなく、彼にとっては、体が悲鳴をあげるまで練習をしないことも、恐らく長く野球を続けるための努力なのである。その代わり、15分間、50回のシャドウピッチングは23年間毎日続けてきたし、6時に起きると決めたら絶対に守る。そうすることでマインドも鍛えられるからだ。

トイレ掃除や挨拶など、野球とは全く関係ない良い行いも、運とツキと縁を貯金してくれる“裏の努力”と考える。
決断し、信じて、全うする。がむしゃらに何かひとつ努力する人よりも、生活すべてに対して小さな努力を怠らない。

そして、コツコツ努力していれば、人間はある日突然成長するのだそうだ。

成長した暁には、きっと特上の男前の姿も待っていることだろう。


 野球論については、さまざまな意見があるだろうが、ビジネス書のひとつとして、彼の精神は知っておいても損はないはずだ。

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